怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第6章 始まった学校生活
足を止めて深夜を見る。
ニコニコと笑顔を浮かべる彼からは、グレンへの心配など微塵も感じとれない。
深夜
「んー、怪我はどうだって?」
「…手術するって」
言われたから聞いた、くらいの感じだろう。
詳しく話さなかったのに深夜はそれ以上は聞いてこなかった。
明らかに態度が変わっている。
「何?あんなに構ってたのに興味なくなったの?」
深夜
「………」
深夜は否定しなかった。
そしてそのまま歩き始める。
深夜
「そろそろ五士が来るだろ?移動しようよ」
「拒否権は?」
深夜
「えー、嫌って言うならみんなの前で愛梨ちゃんが目立つように仕向けちゃうかも」
「………」
私がどうしても目立ちたくない事も気づかれていた。
そんな事を言われたら大人しくついて行くしかない。
「担任になんて説明するの。深夜はいいでしょうけど私は…」
深夜
「それは大丈夫だよ。零崎さんと少しの間グレンくんの様子を見てくるから遅くなりますって言ったから」
「…あ、そう」
用意周到。
正直に言うと、実力を隠しての組手は大変だった。
全校演習での組手をサボれると思えばいいのかもしれない。
そう割り切って2人で歩き出す。
この方向なら行き先は中庭だろう。
確かに全校演習があっている今なら誰もいないし、昇降口からも近い。
深夜
「ここら辺なら五士にも気づかれないかな」