怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第6章 始まった学校生活
深夜
「おかえり」
昇降口で深夜に声をかけられた。
考え事をしながら歩いていたせいで気づくのが遅れたが、彼は私を待っていたらしい。
「全校演習はどうしたんですか?サボりですか」
深夜
「人聞きが悪いなー。ちゃんと先生に許可を貰ってきてるよ」
「サボりますって?」
周りに誰もいない事がわかり、わざと普通なら怒りそうな事を言った。
これで嫌ってくれると有り難いのだが、深夜はこれくらい何とも思わないだろう。
深夜
「あはは、いくら僕でもそんな事言ったら怒られるよ」
深夜は予想通り笑っていて怒る気配はない。
それに深夜なら正直にサボると言っても絶対に教師達は何も言わないに決まっている。
「それで?なんて言ってきたの?」
さほど興味はないが、靴を履き替えながら一応聞いてみた。
彼の言う怒られない理由とは何があるだろうか。
深夜
「グレンくんが心配なので様子見てきまーすって」
「あ、なるほど」
確かにそれなら自然に抜けられる。
それに医務室へ行くのならそこから戻ってきた私とすれ違うのはおかしくない。
「じゃあ行ってきなよ。私は戻るから」
相手もしたし深夜も行く所がある。
そう思って私は深夜の横を通り過ぎようとした。
深夜
「待ってよ。僕は愛梨ちゃんを迎えに来たんだから置いてかないでよ」
「…グレンが心配なんじゃないの?」