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怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】

第6章 始まった学校生活




グレンを運んでいる途中に教えた名前で早速呼んでくる五士。

五士の言う通り、他の生徒や教師は笑っているだけで動かなかった。
いくら一瀬とはいえあの反応はあまりにも異様でおかしい。
でもあの時助けようと動いた美十と五士はまだ普通なのかもしれない。


「普通の事をしただけですよ」

五士
「普通って…、ここじゃ普通なのは愛梨ちゃんじゃなくて、笑ってた奴らの方でしょ」

「私にとってはあれが普通です」

五士
「…!」


そう思ったからこそ、いつもなら真面目に答えない会話にも正直に話した。
すると五士は他の生徒とは全く違う私の発言に驚いて立ち止まる。


「………」

五士
「………」


振り返って様子を見るが、彼が動く気配はない。


「先に戻りますね」


五士ならしばらく戻らなくても問題ないだろう。
でも私は何の権力もないので、間違いなく私だけ目をつけられる。
だから返事を待たずにさっさと歩き始めた。


「………」


校庭までの道のりで色々と考えてしまう。
当初の予定では地味で、いてもいなくても気にならない女子生徒を目指していた。

でも今の行動でかなり目立ってしまったはずだ。


「はぁ…」


思わず溜め息が出てしまう程の失態。
関わらない方がいいとわかっていても、あんな状況に直面するとつい動いてしまう。

この性格は直さないと後々、自分が困りそうだ。
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