怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第3章 悲しい恋物語
長男はその後、自分が孕ませた子供と共に少女と次男を家から放逐してしまう。
放逐された先で次男は一瀬の娘と共に帝ノ月という名の新しい宗教組織を作った。
帝ノ月は現在も残っている。
長男ももちろん帝ノ月の存在を知っていたのだが、敢えて潰さなかった。
理由は永遠に自分を選ばなかった一瀬の娘と自分に逆らった弟をバカにし、辱める為だ。
去勢された次男と少女の間には当然だが、もう子供は生まれない。
だから長男に犯された時にできた子供を当主として育てた。
それから一瀬家、並びに帝ノ月は笑われ続けた。
全ての家の人間がそう笑うように教育されるのだ。
柊に逆らうからこうなるのだ。
一瀬は永遠にネズミ。
生まれついての汚いドブネズミ。
でも今の世代では関係のない事だった。
誰も祖先の恋物語には興味がないのだ。
ただ一瀬はネズミだという認識だけを残して、この恋物語を知っている人は少ないのかもしれない。
それでも私はこの話を何度も聞いてきた。
この話には続きがある事も知っている。
確かに一瀬の少女は柊の当主である長男との子供を帝ノ月の当主として育てた。
ただ一瀬の少女は自分を犯し、更には愛する人を酷い目に合わせた長男をどうしても許せなかったのだ。
一瀬の少女
「私と…子供を作ってくれませんか?」
少女は信頼している従者の1人にそう持ちかけたらしい。