怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第6章 始まった学校生活
五士
「おい、この血の出方マジでやばいんじゃねえか?」
先程まで自分が殴った事で倒れたグレンを見て笑っていた五士ですらも心配している。
でもそれ以外の生徒はまるで動かなかった。
多分、従者の2人はこの騒ぎの中心に自分達の主がいる事など気づいていないのだろう。
このまま対応が遅いといくら上手く受けるのが得意とはいえ、死ぬ可能性すらある。
「………」
さすがに一瀬家の彼を放ってはおけない。
あまり関わるのは得策ではないとわかってはいるが、私もグレンの傍へと近寄った。
美十
「あ、あなた…」
「………」
先程まで組手をしていた冴えない生徒である私が動いた事に不思議そうな美十。
でもそんな事は気にせず、私は容態を確認しようとグレンの横にしゃがんだ。
グレン
「ぐっ…」
体を触っていくと呻き声を漏らす。
「…肋骨が折れてる」
五士
「おいおいおい、それならこいつ医務室に連れてかねぇと…!」
私の言葉を聞いて更に慌てる五士。
既にグレンの意識はないので、早く医務室に連れていく必要があるのは確かだ。
「すぐに運ばないと…」
どうせ手を貸してくれる人はいない。
だから無理があっても私が連れて行くしかないと思い、グレンの体の下に手を入れようとした。
五士
「いやいや!無理でしょ!俺が連れて行くから」
「でも…」