怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第6章 始まった学校生活
案の定、生徒や戦っていた美十達までもが深夜を見ていた。
視線が集まる前に離れた私の事は誰も気にしていない。
自分の判断が早くて助かった。
お陰で私が深夜と馴れ馴れしく話していた所は見られていない。
五士
「…っ」
よく見ると、五士が息を飲んでいた。
この学校で初めて行われた組手の演習で、五士は深夜に片手でいなされた事がある。
だからこそ深夜がグレンに自ら挑んでいくのが理解できなかったのだろう。
深夜
「ちなみに全開でいくから、いくら君が強くてどれだけうまく殴られても骨折くらいはするんじゃない?」
グレン
「あの、深夜様」
突き出された拳を見ていたグレンは、視線を上げて深夜と目を合わせた。
その顔はいつものヘラヘラとした笑顔だ。
グレン
「私、柊様のお相手をできるような実力は持ち合わせておりませ…」
深夜
「うるさい。いいから相手しろよ」
言葉を遮って深夜は動き出した。
いつの間にか術式を作動させていたらしく、深夜の拳には呪詛が渦巻いている。
なかなか強い呪詛な上、周りには気づかせない程スムーズに術式を完成させた実力はやはり本物だ。
こんなものをまともに受けたら深夜の言う通り無傷では済まない。
「………」
それどころか深夜の予想と違ってグレンが本当に弱者だとすると、最悪死んでしまう。
グレン
「ああ、くそ…しょうがねぇな」