怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第6章 始まった学校生活
深夜
「僕は素の愛梨ちゃんと話したいんだからそんな敬語も体裁もいらないよ」
「………」
辺りを確認するが、誰もこちらには注目していない。
普段だったらこんな事言われても深夜が一般生徒に話しかけただけで視線を集めるので、敬語のまま対応している。
でもいつもしつこいし、誰も見ていない今ならいいだろう。
「動きはさすが、小さい頃から訓練されてきたって感じ」
深夜
「うんうん、そうだよね。でもさ…」
そこで言葉をとめた深夜は少し屈んで私と目線を合わせる。
すぐ目の前に、張り付けたいつもの笑顔とは違う楽しそうな表情の深夜。
深夜
「愛梨ちゃんくらいの実力だと何にも勉強になんないでしょ?」
断定した言い方をされた。
何故こんな事を言ってきたのかというと、先程戦闘を始めたのを見た教師達が2人を見て勉強をしろと言っていたからだろう。
「…さあ?」
私は否定も肯定もしなかった。
どうせ否定しても聞かない事はわかっているし、あの2人の程度なら勉強にならないのも事実だ。
深夜
「それにあれが勉強にならないのは僕と愛梨ちゃんだけじゃないんだよ」
「…他の幹部級のご子息達?」
深夜
「それもあるけど…」
そう言って深夜は座り込んでいるあの男の元へと近づいていく。
深夜
「やー、殴られる演技ご苦労さん」