怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第5章 高校への入学
でも見惚れずに私は彼女の姿を目に焼き付けた。
あれが柊で1番優秀な後継者。
そして私が殺さなければならない柊の実子の1人だ。
噂が本当なら私なんかでは到底適いそうにない相手。
真昼
「これから始まる新しい生活に…」
まずは幹部の子供達のレベルを確認し、柊への対策を考える。
私はそう挨拶を聞きながらこれからやるべき事を決めたのだった。
*****
あれから教室に戻った私達は、今後のカリキュラムの説明をされた。
しかもその後に入学式を終えたばかりにも関わらず、いくつかの試験も行われたのだ。
「…ふぅ」
借りておいたアパートの一室に入り、座り込む。
慣れない学園生活に加えて教師が率先して行ういじめの様な光景。
「疲れた…」
グレンがすぐ後ろにいるせいか、私がされた訳ではないのに精神的に疲れてしまったようだ。
こんなのが毎日続くなんていつか気がおかしくなるかもしれない。
「………」
それでも私はやる。
自分に喝を入れる為に先に送っておいた荷物を解き、1つの扇子を取り出した。
これは普通の扇子ではない。
鉄扇と呼ばれる武器だ。
女の子ならこういう武器が喜ぶかもしれないし、油断を誘えるのではないか。
そう考えた先代の当主様が、私を養子候補として選んだ時に準備してくれた武器だった。
「…必ずやり遂げます」
鉄扇に誓うように宣言する。