怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第5章 高校への入学
明日からは本格的に授業が始まる。
今日は入学式だったので持っては行かなかったが、明日からはこれも学校に持っていく予定だ。
「………」
鉄扇を折りたたんで学校指定のカバンにしまっておく。
そして一息つくと、思い出すのはやはり今日の事だった。
あまり近づかないようにしておくつもりだったのに、グレンの前の席になってしまうというアクシデント。
更には養子とはいえ警戒すべきであった柊 深夜に素を見せてしまった。
しかも深夜は私と仲良くしようなどと考えているし、柊の事を嫌っている可能性すらある。
柊の人間というだけで距離を置くべき理由としては充分。
ただそれ以外に、もし深夜が何かを企んでいると柊に知れたらという事も考えなくてはいけない。
その場合、彼と関わっていたら私も疑われてしまうだろう。
そんな凡ミスで失敗なんて有り得ない。
「無視…はさすがにまずい」
関わらないようにするなら1番それが早い手だ。
でもそんな事をしたら一般の生徒という枠から外れ、悪目立ちするのは避けられない。
「…面倒くさいな」
こんな問題が出てくるとは思わなかったので、ちゃんとした集団生活をした事がない私には対処法がわからなかった。
でもなんとか深夜の興味を私から逸らすしかない。
「はぁ…」
当分の目標はこれになるだろうと思いながら、私はもう一度深い溜め息を落とすのだった。