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怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】

第5章 高校への入学




確かにあれを知られては養子の深夜の人生は終わる。
グレンが言っても意味はないが、一般の生徒である私がこの事を話せば無視はできないはすだ。


「ない」


深夜の弱みを握ったも同然。
でも私は短く否定した。


深夜
「そう?ならいいんだけど」


普通なら慎重すぎる程疑うべき所なのに深夜はあっさりとしている。

もし私が話そうと考えていたとして、深夜には言うはずがないという事は誰でもわかるはずだ。
なのに何故、深夜は私を信じられるのだろうか。


「疑わないんだ?」


疑問に思ってつい聞いていた。


深夜
「疑わないよ。だって君、興味なさそうだし」

「………」


気づかれている。
彼の言う通りそんな事を気にしている余裕がないので、関わらないでおこうと思っていた。

それを深夜は見抜いていたのだ。


「これで話は終わり」

深夜
「うん、約束だからね」


危険を感じた私は、さっさと話を切り上げて前を向く。
これで1年間落ち着けるだろう。


深夜
「じゃあ愛梨ちゃん、明日からまた仲良くしようね?」


この言葉を聞くまではそう思っていた。


「は…?」


思わず深夜の方を見ると、もう彼はこちらを見ていない。
本当に今日は話をやめてしまった。


「…やられた」


どうやら私は騙されたらしい。
これ以上は話しかけないというのは今日に限った話だったのだ。
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