怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第5章 高校への入学
ただ深夜は純粋に憐れんでいるようだった。
だから全くそんな感情は湧かなかったのだが、深夜が嫌味で言った可能性もある。
「…そうですね、あなたはともかく他はその家に生まれただけなのにいいご身分で」
深夜
「まあ普通はそう思うよね」
それを確認する為にわざと柊の関係者をバカにした発言をしたのだが、深夜は怒らずに平然と同意した。
深夜
「と言うか、その特別扱いが嫌なら君は僕にタメ口で話せばいいんじゃない?」
「…変に目立ちたくないので結構です」
彼の申し出はもちろん拒否する。
深夜
「おっ、何か事情がありそう」
でもそのせいで何かを勘づかれてしまった。
深夜は人が隠したい事を探るのが上手い。
「…もうあなたとは話さない」
これ以上話すとボロが出てしまいそうなので、私は話す事自体をやめた。
顔を背けてわかりやすく態度に出す。
深夜
「ふふ、それが素?」
「………」
深夜はそんな私に怒るどころか楽しそうに笑っていた。
やはりこの人はよくわからない。
深夜
「じゃあこれ以上は話しかけないから1つだけ答えてよ」
「………」
深夜
「ねぇって」
間違いなく反応するまで話しかけるつもりだ。
「…何?」
答えればもう関わらなくて済む。
その為に仕方なく深夜へと視線を戻した。
深夜
「僕とグレンの話を他の人に言うつもりはある?」