怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第5章 高校への入学
そう思って嫌悪感をわかりやすく演出した。
深夜
「そんなに嫌わないであげてよ。あいつ面白そうな奴だし」
「嫌ってるのが普通なんじゃないですか?」
深夜
「まあね」
深夜は否定しない。
まあ深夜の様に進んで一瀬の人間と関わる方がおかしいというのは本人もわかっているのだろう。
深夜
「それでさっきの話だけど…」
そして私の仮面を剥がしてから深夜はもう一度、話を戻そうとした。
女
「だから違うと言ってるでしょう!!」
「………」
深夜
「………」
でも突然の大声に遮られてしまい、深夜と顔を見合わせる。
私達のクラスの後方から聞こえてきた声により、静かになった講堂。
講堂内の全員の視線が後ろの方へと集まる。
女
「あ、あの…失礼致しました。続けてください…」
恥ずかしそうにか細い声の謝罪が聞こえると、校長は話に戻った。
生徒達もすぐに視線を前に戻す。
深夜
「十条の子か」
「…なるほど」
違和感を感じさせるその行動は、深夜の呟きを聞いて理解した。
十条家の娘だから柊程ではないけれど、生徒達にとっては権力を持つ内の1人なのだ。
だから誰も今の事には触れない。
深夜
「大変だよね。同級生なのに敬語を使って取り巻きみたいにしなくちゃいけないんだから」
「………」
これを深夜以外の柊や幹部の子供から言われたら腹が立ったかもしれない。