怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第5章 高校への入学
1年生が1番多い理由は、各学期に何度かある選抜術式試験が関係している。
いくら入学できてもこの試験で能力が相応しくないと判断されると退学になるのだ。
だから学年が上がる毎に人数が減っていき、1年が終わる頃には生徒の数が半数まで減っている。
校長
「みなさん、入学おめでとうございます」
これから始まる新しい生活への期待や不安で口数が多い生徒達を気にせず、校長の挨拶が始まった。
校長
「この学校では…」
「………」
長いし要点を得ない内容。
それをまともに聞く気にもなれず、ただぼんやりとしていた時だった。
深夜
「ねぇ」
深夜が突然声をかけてきたのだ。
並んだ時に横になったので目を引かないように気をつけていたのだが、彼は間違いなく私に話しかけている。
「…なんでしょうか?」
だから私も他の生徒同様、深夜に笑顔を向けた。
もちろん心底尊敬していると言わんばかりの態度でだ。
深夜
「聞いてたでしょ」
「何をですか?」
深夜
「さっきの話」
顔には出さないが、内心では焦っていた。
深夜
「僕とグレンの話だよ」
その焦りを見抜いているのか、深夜は畳み掛けるように補足をする。
「そう言えば先程お話されていましたね」
深夜
「うん」
「あまり内容は聞こえませんでしたが…、それがどうかしましたか?」
でも私は動揺を見せない。