怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第5章 高校への入学
「…!」
柊の養子であるはずの深夜は間違いなく柊家の事が嫌いだと言った。
想定外の言葉に思わずと反応してしまう。
深夜
「…ちなみに僕は柊の血を引いてないよ。養子だから」
グレン
「………」
深夜
「子供の頃から柊に入るように育てられた養子だから柊家が嫌い。つまり君とは仲間だ」
そう、深夜も私と同じ境遇だったらしい。
あの苦しすぎる施設で柊の婚約者になる為だけに生きてきた子供の1人。
連れて行かれたお陰で助かった私とは違い、実力で生き残った本当に優秀な人だ。
そんな彼が本当にこんな反柊家の思想を持っているのだろうか。
それともこれにグレンが引っかかるのを待っているのだろうか。
担任
「ではそろそろ入学式の時間です。みなさん、行きましょうか」
深夜達は私が考え事をしている間にも何か話していたが、教師がそう言うと話を辞める。
そして教師の指示に従って教室の外へと移動を開始した生徒達と同じように私や深夜達も立ち上がった。
深夜
「じゃ、行こうか。僕ら共通の女神様のスピーチを聞きにさ」
その言葉を最後に私は深夜達と距離を取る。
もし先程の話を私も聞いていたと知ったら面倒な事になるだろうと思ったからだった。
*****
入学式が行われる講堂には全校生徒が集められていた。
生徒の数は1000人を超えており、1番多い1年生から順に並んでいる。