怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第5章 高校への入学
グレン
「これは…申し訳ありませんでした」
深夜
「お、あっさり認めるんだ?」
グレン
「認めたのは野心の部分ではありません」
意外な程あっさり認めたグレンだが、深夜の言葉には首を振った。
グレン
「ただ家から誰にも逆らうな、柊の方々の怒りを買うなと言われていた為に波風が立たぬよう攻撃を受けたのは事実です。実力を隠した訳ではありません」
深夜
「ふぅん、そっか」
グレン
「はい」
一気に言い切ったグレン。
それを聞いた深夜が動いたのをなんとなく感じた。
深夜
「なあ、グレン」
どうやら深夜はグレンへと近づき、耳元で話しているようだ。
深夜
「つまんねぇ嘘、抜かすんじゃねぇよ」
グレン
「………」
耳を澄ますとなんとか聞こえてきた潜められた低い声。
今までとは全く違う話し方に深夜の本性が見えた気がした。
「………」
この声が聞こえているのはグレンの前にいる私だけで、誰も深夜の豹変には気づいていない。
何かを話している事は恐らく全員わかっているが、気にしないようにしているのだ。
グレン
「嘘では…」
深夜
「ま、いいけどね。仲間がいるなーって思って期待してただけだから」
グレン
「………」
否定しようとする言葉を遮った深夜。
深夜
「僕も君と同じで柊家が嫌いだから一緒にこそこそ色々やれたら面白いなーって思ってたのに」