怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第5章 高校への入学
深夜
「ありがと」
笑顔でお礼を言うと、深夜は当然の様にカバンを机に置いた。
担任
「で、ですが深夜様!そのようなネズミの隣に…」
深夜
「先生」
我に返った教師が深夜を止めようとすると、深夜は笑顔のまま言葉を遮る。
ただ教師を呼んだだけのその言葉には非常に強い圧を感じ、教室中の空気が凍った。
深夜
「教師が教え子をネズミなんて言うのはどうかと思うよ?」
担任
「あ、その…」
深夜
「同じクラスの仲間同士。みんなで仲良くやらなきゃ」
担任
「それは…」
真っ当な事を言われて口篭る教師。
でも深夜は言いたい事を言ってもう気が済んだらしい。
深夜
「邪魔してごめんね。ホームルーム続けてください」
教師の態度には一切触れずにさっさと座ってしまった。
担任
「は、はい!」
柊の人間が決めたのならもう教師でも逆らえない。
だから教師は生徒に言われたのに大急ぎで教壇へと戻った。
担任
「では、続けます…」
すっかり萎縮してしまったのか、消え入りそうな声で再開されたホームルーム。
「………」
深夜
「………」
気づかれない程度に深夜の様子を見ると、彼はニコニコと笑って教師の話を聞いていた。
入学式の手順や授業についてなど簡単な説明。
深夜
「ねぇ、君」
そんな中、深夜が突然話し始めた。