怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第5章 高校への入学
本当の負け犬なら柊の思惑通りこのまま屈服するのだろう。
担任
「みなさん、席に着いてください」
そんな事を考えていたら担任らしき女教師が入ってきた。
入口に1番近い席はまだ空席のままだ。
それでも女教師は気にする事なく教壇へと立つ。
担任
「さて、みなさんは今日からこの第一渋谷高校の一員なわけですが…」
言いながら生徒1人1人の顔を順番に見ていく教師。
彼女の視線はわざとだろうが、私で止まった。
グレンへは目もくれない。
担任
「日本でも最高峰である呪術学校の生徒としての誇りと自信を持って、実りある学校生活を送れる事を願っています」
自信に満ちた表情で生徒達を鼓舞した教師は、言い終わると楽しげに私の後方へと視線をやった。
担任
「まあ若干1名ネズミが混ざり込んではいますが、その辺は気にせずに」
教師の視線を追うように自然とみんなの視線がグレンへと集まっていく。
だから私もその流れで後ろを見た。
「………」
グレン
「………」
ピクリとも表情を変えないグレン。
担任
「このクラスの生徒達は実力も成績も最高位のエリートとしてネズミにこの学校の威信を見せつける仕事をこなして頂ければと思っております」
生徒達
「あはは」
生徒達はネズミがグレンの事だとわかって、全員ではないが笑いだした。
それを教師が咎める訳もない。