怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第5章 高校への入学
前に出ようとした従者を後ろに下がらせて、頭を押えながら顔を上げたグレン。
グレン
「あ〜、痛いんだけど?」
「………」
彼はへらへらと笑っていた。
その表情からは怒りすら感じられない。
男子生徒3
「なんだよ。あれ」
男子生徒4
「とんだ腰抜けが来たぞ」
男子生徒2
「だーから所詮は一瀬なんだよ」
罵声と嘲笑の嵐。
従者の女1
「…っ」
従者の女2
「くっ…」
罵声を浴びている当の本人はともかく、従者の2人は震えていた。
怖い訳ではない。
悔しさや怒りで震えているのだ。
グレン
「………」
こんな事をされても感情を見せないグレンはもう諦めているからなのだろうか。
それともわざと弱そうにみせているのか。
今見ただけではわからないが、周りの生徒達には根っからの負け犬だと映ったようだ。
一瀬の次期当主候補を若いうちから自分達の縄張りの高校に入れて屈服させる。
一瀬の子供をこの高校に入れるのもそれが大きな目的だ。
だから彼が弱い負け犬でもここにいるのはおかしくない。
「はぁ…」
思わず溜息がこぼれ落ちた。
まさかここまで弱いと思わなかったのだ。
「………」
興味を失った私は校門を通り、校舎へと向かう。
「…!」
深夜
「………」
その途中で養子として柊の一員になった柊 深夜(ひいらぎ しんや)を見つけた。