怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第10章 本当の実力と柊のやり方
貴重な戦力になる仲間が生き残って嬉しくないわけがない。
でも深夜はそれを認めず、いつもの笑顔で私の言葉を躱した。
「でも噂になってるのはそこじゃないよね?」
深夜
「ん?なんで?」
「だってグレンが解放されたって聞いて興味をもつ人はいないだろうし、そもそも拷問の事を柊が漏らすわけないでしょ」
一瀬を拷問していると生徒に広めたいなら拷問を始めた次の日にはもう全生徒が知っていたはずだ。
なのに解放された次の日に生徒に広めるなんて柊にメリットがなさすぎる。
深夜
「あはは、正解。みんなはグレンが拷問を受けていた事すら知らないよ」
「まあ普通に考えてそうだよね。それで?」
でも噂についての話の最中にグレンが解放された事を先に話したという事は、これからの話に関わっているのだろう。
だから拷問後、無事に解放された事を前提として深夜に続きを促した。
深夜
「昨夜、各名家に柊から通達があった。差出人は柊 暮人」
「!」
ここで拷問を命じた張本人が出てくるとは思わなかったのでつい反応してしまう。
「……内容は?」
深夜
「一瀬 グレンは自分、つまり柊 暮人の部下だ…だってさ」
「は?」
なんでそんな事になっているのか。
180度変わってしまった状況に理解が追いつかないのも仕方ないだろう。
「なんで拷問に連れていかれてそうなるのか意味がわかんない…」
深夜
「僕も聞いた時さすがに驚いたよ」