怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第10章 本当の実力と柊のやり方
へらへらと笑いながら告げられた言葉に信憑性は全く感じられないが、さすがの深夜も驚いてはいたと思う。
それ程までに私達が予想できるはずもない事になっているのだ。
「なんかさ…」
深夜
「ん?」
「考えても意味ない気がしてきた」
諦めたような私を見て深夜は笑っている。
でも暮人の思惑がわからない以上、私が頭を悩ませても正しい答えに辿り着けそうにないのは事実のはず。
しかも尊敬し守らなくてはならない存在であるグレンが復讐の為に殺さなくてはいけない相手の部下だなんて最悪ではないだろうか。
「先生来たら起こして…」
深夜
「えー、もう話すの終わり?」
「おやすみ」
頭を抱えそうになりながら再び体を机に預ける。
完全に話す気がないとわかったらしい深夜は夜更かししたのかな、なんて言いながら大人しく席へと戻って行った。
それから私は担任が来るまで頭を悩ませる事となった。
もし暮人と何かを話した結果として、利害が一致したからこそ部下になったのだとしたらどうすべきなのか。
脅されて部下になっただけなのなら復讐に差支えはないのだが、前者の場合は私が暮人を殺そうとするとグレンに阻まれる可能性すらある。
そうなれば私はグレンを攻撃できない。
殺さないように手加減して戦える相手ではない為、一方的にやられる事になるだろう。
「はぁ…」
本当に面倒な事になった。
最悪の状況で頭がいっぱいになってしまった私は深すぎるため息をこぼした。
*****
早く起きて準備をし、朝食を済ませて登校する。
今日もそんないつも通りの朝を過ごすつもりだった。