怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第10章 本当の実力と柊のやり方
その優しさと察しの良さに感謝しつつ、私は頷いた。
深夜
「まあ十中八九、拷問でしょ」
「……みんな拷問好きだよね」
深夜
「手っ取り早く情報を引き出せるから上の人達お得意の手法だもんね」
人体実験だけでなく拷問も私にとっては不快でしかない。
その嫌悪感を隠さず嫌な顔をした私に深夜は困ったような笑顔を浮かべていた。
「一瀬は拷問の訓練してると思う?」
深夜
「あれだけの実力を隠してたし、そこも教育してると思うよ」
「それならいいけど…」
拷問では間違いなく自白剤を使用するだろう。
私も自白剤を用いた拷問の訓練を受けていたが、慣れていてもあれは耐えられない辛さだった。
深夜
「まあ、グレンが何も話さないで数日耐えられる事を祈っていよう。それが無理なら一瀬は終わりだ」
「………」
あれだけ仲間だと言っている深夜の冷酷にも聞こえる一言。
もし拷問に屈してしまった場合、深夜は何事も無かったかのようにグレンとの縁を断ち切るのは容易に想像できる。
一瀬が終わり、協力者が1人減る。
きっとそれくらいにしか思っていないのだ。
私もただのクラスメイトとして出会っていればそんな感じだったと思うが、深夜とは状況が違う。
深夜
「………」
「………」
会話が途切れてから、深夜は険しい表情をしているであろう私の顔を見ていた。
深夜
「怖い顔してるよ」
そう言い私の額をつついた深夜は、貼り付けたような笑みを浮かべていた自身の表情をフッと緩める。
深夜
「僕達が見込んだ相手だ。実力を隠していた時みたいにきっと上手くやるだろ」