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怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】

第10章 本当の実力と柊のやり方




深夜はそんな事もわからない程のバカではないはずだ。


深夜
「んー、どうなるかなー」

「ごめん。私が思ってたよりもバカだったらしい深夜にはわかんないね」


とぼける深夜に少しだけむかつく。


「はい、これで終わり」


だから嫌がらせのようにわざと大きなガーゼを口元に張り付けて手当てを終わらせた。
整った顔に大きめのガーゼ。


深夜
「ありがと」

「…………」

深夜
「どうかした?」


少しは間抜けになると思ったのだが、変にはなっていない。
顔がいいと手当てされた顔ですら様になるなんて羨ましい事だ。


「い、今頃グレンはどうなってるんだろうなーって思っただけ」

深夜
「えー?真昼だけじゃなくて、君まで僕といるのにグレンの事考えてたの?」


話を変えるにしては不自然だった気もするが、別に深夜は気にしていないらしい。
むしろグレンの名前を出した事に強く反応を示していた。


「恋する乙女と一緒にしないでくれる?」

深夜
「乙女なのは愛梨ちゃんも一緒だろ?」

「恋する、の部分が違うでしょ」


そもそも私に恋など程遠い。
それこそ真昼のように恋する乙女にふさわしい可憐さもないし、立場を放り出してでも恋する相手と一緒になるなんて重たい愛も理解できないのだから。


「………」

深夜
「………」


許嫁候補の時から恋愛なんて諦めていた。
自分が愛する事も、誰かに愛される事も私には起こり得ないものだとずっと思っている。


深夜
「それで、グレンがどうなったかだったっけ?」


私の微妙な反応に何か察したのか、この話はもう流してくれるようだ。
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