怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第9章 戻った日常
暮人
「だが俺が言いたいのは、情報は売っていないが百夜教には組しているという話だ」
グレン
「違いま…」
暮人
「それは信じない」
これも否定しようとしたグレンだったが、暮人はそれを受け入れない。
言葉を遮ってピシャリと否定した。
暮人
「お前には動機があるだろ?」
「………」
深夜
「………」
この少し危険な状況に、私と深夜はそっと目を合わせる。
グレンが疑われる理由は間違いなく一瀬だから柊家を、そして帝ノ鬼を恨んでいると誰もが認識しているからだった。
暮人
「柊家への恨みがあり、百夜教と組むメリットを感じる人物とすれば1番に思い浮かぶのがお前だ」
グレン
「そ…」
暮人
「その証拠にお前は今も道化を演じ、実力を隠している」
一気に言いたい事を言い切った暮人。
しかも彼はグレンに説明させる気なんてなく、話はどんどん違う方向へと向かっている。
暮人
「実力がない奴があの襲撃を生き残れるはずがない」
「………」
これは質問ではない。
暮人
「しかしそれが我ら柊家の脅威になる程なのか、それとも違うのか。それを今から審査する」
確信していて、正体を見せろと命令しているのだ。
直接暮人が相手をするのだろうか。
そう思った時、暮人の視線がこちら側へと向いた。
暮人
「深夜、そいつを殺せ」
深夜
「へ?」
暮人
「それでそいつの実力がわかる」