怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第9章 戻った日常
グレンはわかりやすくうろたえていた。
でもあれは演技だと思われる。
五士
「どういう事だ…?」
美十
「いや、わかりません…」
予想なんてできなかった2人はこの状況についていけていないようだ。
お互い顔を見合わせ、困惑しているのが伝わってくる。
「何の話…?」
深夜
「さあ…?」
だから私達も驚いているような反応をしておいた。
その方が不自然じゃないからだ。
暮人
「どうなんだ」
グレン
「いや、いったいなんの事か…」
再度問い詰められると、グレンは戸惑いながらも否定する。
暮人
「売ってない?」
グレン
「は、はい」
暮人
「本当か?」
何度もしつこく質問を続ける暮人。
これはグレンの答えを信じていないという事なのだろうか。
それとも単純に確信を得たいのか。
どちらなのかは彼の事をよく知らないのでわからない。
ただ、暮人によってこの場の空気が凍りついているのだけはわかる。
グレン
「そもそも私はこの学校では嫌われ者で、売れる程の情報を持ち合わせては…」
暮人
「それは信じる」
グレンも信じてもらう為に至極真っ当な意見を述べると、暮人は遮ってそれを受け入れた。
暮人
「この学校にいる教師や生徒は愚かだが、お前に情報を漏らす程ではないからな」
しかも教師や生徒達が愚かとまで言い始めるので驚きだ。
どうやら暮人はこの学校の大半を信用していないらしい。