怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第9章 戻った日常
しかも美十まで深夜に便乗してそんな事を言い始めた。
だが、グレンと暮人が2人の言葉に反応する気配がない。
グレン
「あの、それで私はどうしたら…」
結局グレンは2人の方を見ずに暮人へと弱々しく声をかけた。
暮人
「入れ」
グレン
「あ、はい」
頭を下げてからようやく体育館の中へと入ってきたグレン。
彼はそのまま進んできて、深夜の隣に並んだ。
暮人
「………」
グレンが移動している間も暮人はじっとグレンの事を見ていた。
これは何かを言うつもりなのかもしれない。
「………」
そう察した私は、少し後ろへと下がってグレンと距離をとる。
暮人
「おい、一瀬 グレン」
グレン
「はい」
威圧感が全くない暮人。
だが、その瞳は冷淡さを感じさせる。
暮人
「質問がある。答えろ」
そして暮人はそう前置きしてからグレンに一歩近づいた。
まさかこのタイミングであの襲撃について聞く気だろうか。
この場には深夜や名家の美十と五士だけでなく、一般生徒の私もいる。
深夜
「………」
「………」
思わず動揺しそうになってしまった。
でも深夜がちらりとこちらを見た瞬間、あの忠告を思い出してなんとか堪える。
暮人
「お前は4月に襲撃してきた百夜教にこの学校の情報を売ったか?」
あまりにも単刀直入すぎる質問。
グレン
「え、あの…」