怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第4章 子供時代
でも5歳から死と隣り合わせの生活をしてきた私はわかってしまった。
「女の子が生まれないから仕方なく強ければ誰でもいいから私を連れて来た。嫌がるなら外に漏らさない為に殺す」
年配の男
「………」
男性は否定しない。
私が言った事は当たっていたようだ。
年配の男
「今すぐどうしろとは言わない。考えておきなさい」
顔を強ばらせた私を見てそう言い残すと、男性は出ていってしまった。
「ふぅ…」
緊張感から解放され、深く息を吐く。
それでも安心する訳にはいかない。
先程の話を引き受けなければ私は殺される。
でも男性が語った一瀬の少女を思えば、神のような存在として教えられてきた柊への尊敬は消えていた。
「………」
生きたければ柊の人間を殺さなくてはいけない。
正直に言うと複雑だ。
柊の許嫁になればこんな辛い思いをしなくていいと思っていた。
でも今度は自分が死なない為にその柊の人間を殺そうとしている。
若い男
「どうするか悩んでるの?」
「…!」
今までとは真逆になった目的に混乱していると、突如聞こえてきた声。
1番最初に話した人の声だ。
顔を上げると男の人は既に部屋の中に入ってきていた。
若い男
「もうここに連れて来られた目的は聞いたよね?」
「…うん」
若い男
「僕は君に引き受けて欲しいと思ってるよ」