怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第4章 子供時代
素直に頷くと男性から穏やかな空気が消えた。
年配の男
「どういう風に聞いている?」
「………」
ここで返答を間違えると殺される。
そう思わせる程の緊張感だった。
どうするか、悩む時間もない。
「…柊の裏切り者」
だから私は実際に聞いてきた事を正直に話した。
年配の男
「…他は?」
「生まれついての汚いドブネズミ…」
後半の声はほとんど消えていただろう。
それ程までに一瀬の関係者と見られる彼に言うのは怖かったが、言わなくてもどう聞いているかわかっていた気がするのでなんとか言い切った。
年配の男
「そうだろうね」
「………」
私の返答を聞いても動じない。
つまり帝ノ鬼の関係者の子供がどう教えられてきているのか知っていたのだ。
正直に話して良かったと安心する。
年配の男
「じゃあ一瀬が今の扱いになった昔話は知っているかい?」
「…いえ」
年配の男
「それならそこからだね」
そして男性は一瀬の少女と柊の次男の悲しい恋物語を教えてくれた。
この悲しい恋物語自体は知っている人も多いらしい。
でもこれには彼らしか知らない続きがあった。
少女の復讐についてだ。
年配の男
「この復讐について知っている人達は僕らの家系しかいない。それを君に教えたんだ」
「………」
年配の男
「この意味がわかるかな?」
わかりたくなかった。