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怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】

第9章 戻った日常




「………」


小声で話している2人の声は前に座っている私の耳には届いている。
でもそれは承知の上で話しているだろうから、変に思われないよう私は何も反応しない。


担任
「零崎さん。あなたもです」

「………」


声は出さずに頷いておいた。
すると何を勘違いしたのか、担任は笑顔を浮かべて何度も頷いている。


担任
「わかりますよ。収集を受けた他の人が名家の人達なので不安ですよね」

「えっと…」

担任
「でも大丈夫。零崎さんも強いんだから自信を持って!」


変に元気づけられてしまった。
でも私は不安に思っていたのではなく、内部調査の事を考えて緊張していたのだ。


「あ、はい」


もちろんそんな事は言えないのでそう短く伝えて黙る。


担任
「そして最低ランクに決まっている一瀬家のクズを合わせた5人が収集を受けています」


担任も私を励まして満足したのか、予想通り雑にグレンも収集されている事を伝えた。
グレンがいるという事は内部調査だと確定したともいえる。


担任
「では今呼ばれたみなさんは指定された時間に体育館へと向かってください」


今呼ばれた全員が疑われているのだろうか。
それとも疑われているのはあくまでもグレンだけで、本当に再試験を真剣にやらせるつもりなのか。

どちらにせよ、今度は負ける気しかない。
グレンを調査する為に柊側の人間が見ているというのなら尚更だ。
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