怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第9章 戻った日常
「…っ」
当然のように言われた言葉に、不覚にもキュンときてしまった。
顔がいいのだからこんな事をさらりと言わないで欲しい。
深夜
「ん?」
「………」
恐らくだが、私は深夜の顔自体は好きなのだろう。
あくまでも顔だけだが、慣れておかないとこの先苦労するのが目に見えている。
「耐性つけないと…」
深夜
「え、何を?」
「はぁ…」
思わず呟いてしまった独り言に反応した深夜。
それには答えず、私はただ深いため息をついたのだった。
*****
深夜から内部調査の事を聞いてから3日経った。
この3日で梅雨入りしたらしく、朝から雨が降ったり止んだりしている。
担任
「みんなわかっている通り、4月に受けた襲撃によって仲間を…未来の帝ノ鬼のエリート候補生を半分も失ってしまいました」
「………」
私はボーッと窓を打ち付ける雨を見ていた。
でもこの時間は前を向いた方がいいだろう。
担任
「まずはそこで失われたクラスメイト達の事を思って今日も黙祷しましょう」
その言葉に続々と目を閉じていくクラスメイト達。
どうせ後ろの2人は今日もしないのだろうが、私は空気を読んで目を閉じた。
「………」
あれから毎日しているこの1分間の黙祷。
一方的に殺された事実に何も思わない程感情は死んでいない。
だが、今回ばかりは実力が足りなかった当人のせいだと言いたい。