怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第9章 戻った日常
そこで黙ってしまったグレンは、変わらず私を見ていた。
何か言いたそうにも見える。
深夜
「愛梨ちゃんと色々話したいのはわかるんだけどさ。とりあえず先に僕の話を聞きなよ」
グレン
「は?」
深夜もそれを感じ取ったのだろう。
だから釘を刺すように言った深夜の言葉だったが、グレンは心底意味がわからないという顔をしていた。
深夜
「君さ、余裕なさすぎるよ。どこかのカフェで紅茶でも飲みながら今後の対策を…」
グレン
「寝言には興味ねぇんだよ。消えろ」
不愉快そうに切り捨てられた深夜の提案。
もちろん本音ではなく、冗談だろうとはわかる。
「今のは深夜が悪い」
それでもこのタイミングでの冗談は不必要だ。
深夜
「あらら、怒られちゃった。じゃあ情報交換ならどう?」
グレン
「情報交換だと?」
私からの指摘を受けた深夜はそれ以上はふざけずに、本題に入ったらしい。
グレンも情報となれば別らしく、興味を持っている。
グレン
「有用な情報があるのか?」
深夜
「そういう時だけすぐに食いつくよねー」
「ねえ、そもそも情報って何?私聞いてないんだけど」
ただ私はグレンに話せるような情報があるなんて聞いていない。
一応仲間という立場なのに教えてもらっていない事の不満から、遠慮なく割り込ませてもらった。
深夜
「ああ。それ程の情報じゃないからだよ」