怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第9章 戻った日常
だがこの深夜の存在が普通ではないからこそ、何も言われないのだ。
そしてそんな私達とは対象的に自主練に励むクラスメイト達を見る。
「あれ何してるの?」
私達のクラスしか使用していないのに、みんなはなぜか広い演習場の1ヶ所に集まっていた。
深夜
「あの中心にいるのグレンだろ?そのグレンと訓練してるのが十条 美十だからだよ」
「なるほどね」
それならあれだけの注目を浴びている事に納得がいく。
十条 美十はあの百夜教との一件から、グレンによく絡みに行っていた。
「あーあ。怒らせちゃった」
深夜
「はは、ほんとだ」
でもそんな事をグレンが喜ぶはずもない。
案の定、怒った様子の美十がグレンから離れていくのが見えた。
深夜
「グレンはもう少し優しくしてあげたらいいのに。そんなだから友達いないんだよ」
「深夜だって私以外に友達いないくせに」
深夜
「それ、愛梨ちゃんもでしょ」
残念ながら言い返せない。
「別に友達が欲しくてここにいる訳じゃないし、深夜だけで充分」
深夜
「お、嬉しい事言ってくれるね」
こんな考えに至ったのは、想像よりも深夜と話しているのが楽だったからだ。
他の子とはこんな風に話す事はできないだろう。
深夜
「でもここに彼も入る予定だからそれは受け入れてあげてよ」
「予定って…」
名前を言われなくてもグレンの事だとさすがにわかる。