怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第9章 戻った日常
深夜
「後はグレンも協力してくれればいいんだけどな〜」
「それは私は知らないから」
深夜
「えー、協力してくれないのー?」
グレンの勧誘までは協力する気なんてない。
だから私は深夜の協力者として最低限のサポートをしようと決めたのだった。
*****
深夜
「そう言えばさ、僕と一緒に行動するようになって何か変化あったりした?」
すっかり痛みが引いた左腕を見ながら数日前の事を思い出していた時に突然された質問。
「いきなりどうしたの?」
深夜
「だって友達がいない愛梨ちゃんが僕といきなり一緒に行動し始めたんだから不審がる人とかもいそうじゃない?」
唐突すぎるその質問にどうしたのかと思ったが、深夜は心配してくれているようだった。
でも心配をかけるような事は何もおきていない。
「大丈夫。逆にいい事があったから」
深夜
「いい事?」
だから安心させるように笑顔でそう言った。
そして今言った通り、いい事はおきている。
「うん。例えば今とか」
私達がいる場所はあの演習場。
今は私達のクラスがここで自主練をする時間だ。
でも私達は自主練なんてせず、こうしてのんびりと雑談している。
「こうしてサボってても教師達は何も言わないでしょ?」
深夜
「はは、確かにね」
普通ならサボっているのが見つかったら怒られるだけでは済まない。