怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第9章 戻った日常
確かに変に腹の探り合いをするよりかはいい。
「盗聴は?」
深夜
「ここはされてないから安心して」
それを信じていいのだろうか。
一瞬悩むが、真昼が裏切り者という事すら黙っていた深夜なら恐らく大丈夫だと思われる。
「単純に斉藤を狙ったけど、白煙のせいで間違えてしまった。って言われて信じる?」
深夜
「信じてって言うなら信じてあげたいけど…」
「信じないって事ね」
言いながらも信じるなんて思っていなかった。
ただこれを信じてくれたら楽だから言ってみただけだ。
「じゃあ言うけど、あれは間違いなく柊 征志郎を狙って攻撃したよ」
深夜
「意外だな」
「なにが?」
深夜
「絶対に認めないだろうなって思ったから」
すぐ目の前にある深夜の表情から本当に驚いているのがわかる。
この顔が見れたのなら正直に言った価値はあったのかもしれない。
「理由は少し痛い目に合わせたかったって感じかな」
深夜
「あはは、痛い目って征志郎嫌われてるな〜」
多分、深夜は信じていない。
でも本当の理由を言う訳にはいかないので、これ以上は何も話すつもりはなかった。
「信じてないだろうけどそういう事にしておいて」
深夜
「はいはい。じゃあそれで納得しておいてあげる」
「ありがと」
最初から私が話すとは思っていなかったのだろう。
深夜はあっさり納得してくれた。