怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第9章 戻った日常
深夜
「じゃあ次、目の上の所やるから髪触るよ?」
「ん」
左目の上を怪我しているので、固定された左腕では髪を触れない。
だから素直に深夜の手を受け入れる。
深夜
「うわ〜、これ結構血出たでしょ」
「ちょっとくらってするし出たんじゃない?」
深夜
「髪の毛も血で固まっちゃってる。このタオルだけじゃ髪までは拭けなそうだな…」
深夜が準備してくれていたタオルは左腕を拭いただけで、もう血に染ってしまっていた。
それでもなんとか目の付近までは綺麗にしてくれたらしい。
「帰ってからするから髪まで気にしなくて大丈夫だよ」
深夜
「そう?まあ手当てが終わったらハンカチ濡らしてくるからそれまで我慢してて」
「わかった」
別に髪の毛なんてあまり気にしないのだが、こう言ってくれているのに拒否するのは違うだろう。
深夜
「お、素直」
「さっきまでいじめっ子だったけど、ちゃんと手当てしてくれてるからね」
深夜
「じゃあ今色々聞いたら素直に教えてくれる?」
「………」
聞かれるとは思っていた。
うまく逃げれるだろうか。
「何を?」
深夜
「どうして征志郎を殺そうとしたのか」
「いきなりそれ聞く?」
色々聞くと言っていたのでどうでもいいような事から聞かれると思っていた私は、直球すぎる質問につい笑ってしまう。
深夜
「どうせ聞くなら先の方がいいかなって」