怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
五士
「この不公平感、どういう事だと思う?グレン」
グレン
「俺はお前が突然俺の名を呼び捨てにした方に疑問を感じるが」
不満げな五士へと冷静なツッコミを入れるグレン。
確かに五士はグレンの事をそんな風には呼んでいたかったはずだ。
この短時間で何か心境の変化でもあったのだろう。
五士
「いやー、お前が助けてくれなきゃ俺死んでたし。命の恩人みたいな?」
「!」
そういえばあの赤い光が空から降ってきた時、グレンは美十を突き飛ばした。
よく考えるとあれはこの2人を助ける為だったのだろう。
そしてそれが本当なら恐ろしい事実に気がつく。
「…どこが弱いネズミよ」
グレンはあの光が着弾する少し前に美十を突き飛ばしていた。
私や美十達も気づかなかったのにだ。
つまり一瀬 グレンは十条や五士よりも圧倒的に強い。
「………」
本気で彼は柊を潰そうとしているのかもしれない。
だからあそこまで自分の実力を隠しているのだろう。
グレン
「その恩人を呼び捨てか?」
五士
「お前、友達少ないから嬉しいだろ?」
グレン
「死ね」
五士
「あはは」
そんな事に気づくはずもない五士は、猫を被っていないグレンと仲良さげに話している。
猫を被っていないのに違和感はないのだろうか。
五士
「ま、冗談はさておき…」
すると真面目な声で話し始めた五士の声が近づいてくる事に気づいた。