怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
さすがに十条家の人間は生き残れたようだ。
でもグレンは血と言った。
負傷しているのだろうか。
美十
「生きててよかった!」
「わ…」
気になって座ったまま見上げていると、美十がグレンへと抱きくという驚きの光景を目撃する。
美十はグレンを嫌っていたのではなかっただろうか。
グレン
「おい…」
そんな疑問を抱いた私だけでなく、突然抱きつかれたグレン本人も驚いているようだった。
美十
「みんな死んじゃって…一生懸命助けようとしたのにみんな、みんな…」
震えながらグレンへと訴える美十。
先程見た素のグレンならすぐに美十を引き剥がしそうだが、あまりにも怯えきっているからかもしれない。
グレン
「………」
美十
「…!」
グレンは戸惑った後、そっと肩を抱いてあげていた。
美十
「………」
そのお陰で美十も少しは落ち着けたのだろう。
若干震えが収まってきたように見える。
五士
「お前らいつの間にそういう関係になったの?」
そんな時、場にそぐわない声が聞こえてきた。
五士も無事だったらしい。
しかも美十とは違って落ち着いているようだ。
美十
「五士!あなたも生きていたんですね!!」
五士
「あ、そういう展開で女の子とくっつけるの?」
恐らく五士は手を広げて待っていたりするのだろう。
でも美十は私から見える位置から動かない。