怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
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「あ…」
しばらくすると、白煙が薄くなり始めた。
それも急速にだ。
どうやらこの白煙は呪術で作られていた物らしい。
それが消え始めたという事は、百夜教が撤退したのだろう。
「………」
そして白煙が消えた先に見えた景色。
覚悟はしていたが、地獄でしかなかった。
男子生徒9
「………」
女子生徒5
「うぅ…」
男子生徒10
「助かるから!もう助かるから!!」
血に染った校庭。
そこで立ち尽くす男子生徒や泣き崩れる女子生徒、明らかに死んでいる生徒に必死に心臓マッサージをしている男子生徒が目に入る。
というより、私が確認できる範囲で生きているのがその3人しかいないのだ。
後は生徒の死体や教師の死体しか見当たらない。
誰も百夜教からの刺客を倒せなかったのか。
ここはエリートばかりが通う学校。
それでも太刀打ちができないとなると、戦争が始まったら勝ち目はないのではないか。
グレン
「あいつら、めちゃくちゃだな…」
「!」
面倒な事に巻き込まれてしまったと思っていると、頭上から声が聞こえてきた。
グレンは生きていたのだ。
美十
「あ、あなたも生きていたんですね…!!」
顔を上げてグレンの姿を確認すると、彼は後方から聞こえた声に反応して振り返っていた。
この声と口調から声の主は恐らく十条 美十だろう。
グレン
「お前、その血は…」