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怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】

第4章 子供時代




それにあんな方法をとったのだから、施設には秘密のはずだ。

そして私を連れ出した目的。
今の段階でわかるのは私を誘拐した人が女の子を欲しがっている事と、危害を加える可能性が低いという事だ。

わざわざあの施設から命懸けで誘拐したという事は、あそこにいる子供じゃないといけなかった理由がある。
あそこにいる子供と普通の子供の違いは簡単だ。

大人にも負けない程の実力。
むしろそれ以外は有り得ないと言ってもいいだろう。


「…また殺さなきゃいけないのかな」


強い子供を欲しがるなんてそれくらいしか理由がない。
私は永遠に殺しからは逃げられないのだろう。
思わず声に出してしまった時、襖の向こうに気配を感じた。


「誰?」


こちらの話を聞いていたであろう人間に問いかける。
もし聞かれていたら使えないと判断されて殺されるかもしれない。

死への恐怖を思い出し、身を固くして返事を待つ。



「………」


私の言葉に答えるように開かれた襖。
襖を開けたのは先程とは違う、年配の男性だった。


「………」

年配の男
「………」


じろじろと見られて居心地が悪い。
それでも隙を見せないように目をそらさなかった。
感情が読めない表情のまま観察してくる男。

しばらくその状態が続いた後、男が表情を緩めた。


年配の男
「本当に君は…」


目を細めた男の瞳は僅かに潤んでいる。
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