怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第4章 子供時代
?
「開けるよ?」
「!」
そう言って遠慮なく開かれた襖。
私は慌てて布団を被った。
?
「あ、やっぱり起きてる」
さすがに起きた事は気づかれている。
それならこうしている訳にはいかないだろう。
「………」
そう思ってそっと顔を出した。
部屋に入ってきた人はやはり若い男の人。
若い男
「ごめんね、こんな所にいてびっくりしたよね」
「…あの」
あまりにも柔らかい空気を放っている男の人に、私は警戒を解いた。
恐る恐る声を出した私を見て男の人は優しく笑うと、すぐ横へと腰掛けて目線を合わせてくれる。
若い男
「質問いっぱいあるよね。でもちょっと待って、起きたら呼んでって言われてるから」
「え…」
思わず不安げな声が出てしまった。
この人だから落ち着けたのだ。
他の人がここに来ると思うとまた怖さが戻ってきてしまう。
若い男
「心配しなくて大丈夫だよ」
これからどうなるのか不安で仕方なかった私の頭を、この人は撫でてくれた。
若い男
「念願の女の子を苦労して手に入れたんだ。下手な事にはならないよ」
「…念願の女の子?」
若い男
「そう、念願のね。じゃあ待っててね」
足早に去っていった男の人。
彼が完全に離れた事を確認してから、私は状況を整理する。
まず私はあの見張りに言われてカバンに入り、そのカバンごとここに連れて来られた。