怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
先程までグレンの事をバカにしていたであろう生徒達の死体や、血で赤く染った地面。
いったい何人殺されてしまったのだろうか。
「…っ」
私が殺しに慣れていたのは零崎家に来る前の事だ。
悲鳴や血の匂いについ後ずさりそうになる。
「!」
そんな時だ。
後方から足音が聞こえてきた。
恐らく、試合場から誰かが私のように飛び降りたのだ。
「………」
あれが誰かはわからない。
グレンや深夜かもしれないし、斉藤や例の裏切り者の可能性もある。
でもこの白煙なので気配を消していれば気づかれないはずだ。
そう判断してじっとしたまま気配を探っていると、その足音の主はどこかへ走り去って行った。
「ふぅ…」
気づかれなかった事に安堵してしまうが、そうゆっくりはしていられない。
先程まではアドレナリンが出ていたのか全く気にならなかっだが、私は負傷している。
今は出血が止まっている目の上の怪我と痛めた左腕。
痛みを多少でも自覚してしまうと、もういつものようには戦えないだろう。
だとすると、私がしなくてはいけないのは一刻も早くここから脱出する事だ。
「…見えない」
脱出するにはまずルートを探す必要がある。
でもこれ程までに視界が悪いと見つけられるはずがなかった。
男子生徒4
「帝ノ鬼の主力部隊が来たぞ!!」
「!」
方法が見つからずに困っていると聞こえてきた状況を変える報告。