怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
グレン
「あ?」
グレンも何かがおかしいと思ったらしい。
睨みつけるように斉藤を見ながら首を傾げている。
斉藤
「というか、そろそろ私の任務は終わりますから」
「任務ってさっき言ってた研究資料?」
斉藤
「はい。研究資料と協力者の回収が今回の私の任務です」
協力者の回収なんて先程は言っていなかった。
でもその協力者の事を話したのは深夜が誰か気づいているからだろう。
斉藤
「その間1番邪魔になるであろう2人を足止めするのが私の仕事。そしてそれは成功した」
つまり本当に私は関係なかったのだ。
しかも足止めという事は、彼がわざとグレンと深夜に負けた可能性が高いという事になる。
「………」
もしそうなら斉藤はまだ力を隠しているし、ここに斉藤の仲間が来るかもしれない。
仲間が来るからこそこんな無茶な時間稼ぎができたのではないだろうか。
ここまで考えると、どうするかはすぐに決まった。
斉藤
「あなた達は私達の目的を邪魔せず、ここで大人しく私に注目して…」
余裕を感じさせる斉藤の言葉。
それを聞きながら、私は試合場の外の白煙へと飛び込んだ。
「…けほっ」
白煙の中へと入ると息がしにくいし、視界も悪くなる。
だから煙を避けるように体制を低くした。
「うわ…」
これで移動がしやすくなる。
そう思ったのだが、体制を低くした事で色々な物が見えてしまった。