怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
深夜
「………」
深夜もそれはわかっているのだろうが、なぜか何も話さない。
あれだけ饒舌な深夜が話さないなんてどういう事だろうか。
「?」
不思議に思った私は、斉藤に近づきすぎないように気をつけつつ移動する。
そして見えた深夜の表情に私は驚かされた。
「…!」
深夜
「………」
深夜の顔からは笑顔が消えており、目を見開いて固まっているのだ。
これは確実に心当たりがあるだろう。
でもこの調子では答えてくれそうにはない。
グレン
「まあ、いい」
グレンも深夜から聞くのは諦めて斉藤へと視線を移していた。
グレン
「お前が答えろ、斉藤。いったい誰と通じてるんだ?」
斉藤
「もう深夜さんは気づいているのにわざわざ私が答える必要は…」
先程あんな目にあったというのに、斉藤は素直に答えない。
答えないとまた同じ事をされるに決まっている。
斉藤
「ぐぅっ…」
そして私が思った通り、グレンは刀を更にくい込ませたようだ。
痛みに顔を歪ませて呻く斉藤。
グレン
「いいから答えろよ。殺すぞ」
斉藤
「あはは、怖いなぁ~」
だが、突然斉藤は笑い始めた。
痛がっていたのは演技ではなかったと私は思う。
斉藤
「ま、殺してもらってもいいんですがね」
でも今の斉藤はニコニコと笑って殺してもいいとまで言い始めている。
この短時間でなぜここまで変わったのか。