怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
なのに深夜は接触すらしていないと言う。
百夜教はなぜ深夜を仲間にしようとしなかったのか。
斉藤
「彼よりもっと有能な方が情報を売ってくれたので」
そんな私の疑問に答えをもたらしたのは斉藤。
深夜
「うわ、何気に力ないって貶されたんだけど」
傷ついたような言い方をしているが、実際は何も感じていないだろう。
深夜の笑顔がそう物語っている。
「もっと有能って事は柊の人間って事だよね?」
深夜
「だろうねー」
だから普通に話しかけると、案の定普通に話し始めた。
深夜より有能な柊家の人間。
それもこの学校に関わっている人間となると、自ずと絞られてくる。
深夜
「柊 暮人生徒会長とか?」
斉藤
「いいえ。もっと有能で柊の事を強く憎んでいる方ですよ」
深夜が1番最初に疑ったのは柊 暮人。
でも彼以上に有能な人物だと斉藤は言う。
柊 暮人よりも有能という事は征志郎ではない。
そもそも征志郎は先程、本当に殺されそうだったので疑う必要すらなかった。
「………」
私は柊の内情を完全にわかっている訳ではない。
だから断定はできないが、この学校にいる柊家の人間で有能なのはもう1人しか残っていないのではないだろうか。
グレン
「知ってるのか?」
「!」
頭に1人の女が浮かんだ時、グレンのそんな声が聞こえてきた。
顔を上げるとグレンは深夜に言っているのだと気づく。