怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
それはグレンもわかっているようだ。
だから念を押してからもう1度質問をする。
斉藤
「これは仕方ありませんねぇ」
困ったように言った斉藤は目を閉じた。
深夜
「………」
「深夜?」
すると何かを感じとったのか、深夜はゆっくりとグレン達の方へと向かっていく。
斉藤が何かしようとしているのだろうか。
私は何も感じなかったけれど深夜が動いたのだ。
何かあると思い、斉藤の動きをじっと見る。
斉藤
「………」
「!」
そして覚悟を決めたような表情で目を開いた斉藤。
その彼の瞳には蛇のような模様が浮かんでいた。
斉藤は諦めてなどおらず、瞳に仕込んでいた呪詛を発動しようとしているのだ。
グレン
「…!」
それに気づいたグレンはすぐに後方へと下がろうとする。
深夜
「下がる必要ないよ」
でもそんなグレンを止めたのが深夜だ。
深夜は斉藤が呪詛を発動する前に瞳へと護符を貼る。
深夜
「ほい、封じた」
斉藤
「あ…」
斉藤もあっという間の出来事に間抜けな声をあげていた。
これで斉藤が逆転する方法はなくなったも同然だろう。
深夜
「僕も興味あるな。別に柊の生徒達がどうなろうが気にならないけど、君らがここを襲う理由がない」
斉藤
「………」
深夜
「この程度の兵数で来たところで帝ノ鬼の主力部隊が来たらすぐに駆逐されちゃうしね。いったい何の為にここに来たんだ?」