怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
先程言った通り、本当に物理攻撃が効かないのだろう。
でもグレンは無鉄砲に攻撃している訳ではなかった。
グレン
「蠢け、孔雀丸」
その言葉と同時に彼が持つ真紅の刀の刀身がまるで血のような赤い炎を生み、爆発する。
斉藤
「が、あ…体が言う事を効かな…」
「え…」
すると斉藤が苦しみ出した。
今、グレンは何をしたのか。
柊の呪法にはこんなものはなかったはずだ。
ではこれが一瀬の呪法の1つなのか。
そんな私の疑問は斉藤の苦しげな声の後にわかる事になる。
斉藤
「わ、私の体は柊の呪法は効かないようにできて…」
グレン
「俺は柊じゃねぇよ」
「じゃあ柊の呪法じゃないって事か…」
深夜
「らしいね」
思わず呟いた言葉に返事を返した深夜。
彼を見ると、相変わらず楽しそうにしている。
深夜
「つまり愛梨ちゃんの予想は大当たりって事だ」
「何か予想なんてしてたっけ?」
深夜
「選抜術式試験の1日目に一瀬の従者は敢えて一瀬の呪法を使わないんじゃないかって話しただろ?」
そういえばそんな話をした。
深夜
「すると本当に彼女達は使わなかった。だから僕らは今、初めて一瀬の呪法を見れているんだ」
「やっぱりあれが一瀬だけが使う呪法なんだ?」
深夜
「多分ね。あんな風に体が赤く染まっていくの見た事ないから」
深夜の見つめる先にいる斉藤。