怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
グレン
「俺は百夜教の下につくなんてごめんだし、もう誰かの下で力がないのを言い訳するのには飽きてんだよ。だから…」
そこで言葉を止めたグレンは私達の視界から消える。
目線を上へと動かすと、彼は刀を振り上げて飛んでいた。
グレン
「俺は上にいる奴全員、斬り殺してやる!」
そして斉藤に刀を叩きつける。
しかも相手の存在を消滅させようとするくらいの勢いでだ。
斉藤
「もう以前にそれは試したでしょう」
だが、斉藤は余裕の表情を浮かべていた。
斉藤
「私に物理攻撃は効きませんよ。そういう改造を受けている」
「は…?」
百夜教は人体実験で有名な組織。
あの鎖を体から出している時点で薄々感じていたが、彼もその被害者だったのではないだろうか。
それに気づいた私は、思わず動揺してしまった。
でもグレンは気にしない。
グレン
「おら…!」
躊躇せずに刀を振り下ろす。
斉藤もグレンが攻撃を止めると思っていなかったのだろう。
すぐに鎖で刀を防ごうとしていた。
斉藤
「ああ、やっぱり鎖だけじゃ止まらな…」
でも斉藤自身が言った通り、鎖はいとも簡単に断ち切られてしまう。
斉藤を守る物がなくなった。
当然グレンが刀を止める訳がない。
斉藤
「ほら、ダメだと言って…」
肩口へと刀がくい込む。
普通なら痛いどころで済まないはずだが、斉藤はへらへらと笑っていた。