怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第4章 子供時代
私はその暗闇で黙って何かがおきるのを待つ。
この状況なら下手に動かず、ただじっとしているのが1番安全だからだ。
「…っ!」
すると突然カバンが持ち上げられた。
さすがに動いては行けないとわかっていてもこれだけは耐えられなかったのだ。
「………」
それでもそれ以降は、全く動かない。
全ては試験だった時に評価を悪くしない為だ。
そうしている間に酸素が薄くなったのだろう。
いけないとわかりつつも、私の意識は黒く染まってしまった。
*****
「ん…」
長らく感じなかった柔らかい布団の感触。
それに違和感を覚えて目が覚めた。
「何ここ…」
まず驚いたのは寝かされていた部屋だ。
私が施設で生活していた部屋は大部屋の洋室。
でも今いるのは畳が敷いてある和室だった。
施設は全て洋室なので、ここは施設外という事になる。
布団も今まで使っていた物よりも上等な物だとすぐにわかる程の高級品だ。
私はどうするべきなのだろうか。
そう悩みながらも体を起こす。
?
「目、覚めた?」
すると私が動いたからなのか、障子の向こうから若い男の声が聞こえてきた。
「………」
よくわからない状況に加えて施設では関わる事のなかった男の人からの質問。
それに警戒して返事をする事ができなかった。
?
「あれ?起きてるよね?」
「………」