怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
黒スーツの男
「この学校で7人いる要注意人物のうち、同時に2人を相手にしろだなんて…本当に面倒だ」
「2人…?」
今試合場にいるのはこの黒スーツの男と私、そして深夜とグレンだ。
しかも男は要注意人物が2人いると言った。
その2人の中に私は含まれていないのではと思い、つい声を出してしまう。
グレン
「なるほど。つまりお前は俺と深夜の両方を調査済みって訳か、斉藤」
斉藤
「当然です。下調べもしないで柊に戦争なんて仕掛けませんよ」
「………」
今の会話でわかった事が2つある。
1つはグレンは黒スーツの男が斉藤という名前だと知っているので、知り合いなのだという事だ。
平然と話しているが、立場は斉藤の方が上らしい。
もう1つは予想通り、私はあの男の言う要注意人物ではないという事だ。
現に私の名前がこの会話で出てくる気配はない。
ただわからない事もたくさんある。
まず、あの男は何者なのか。
そしてグレンとあの男の関係性はなんなのか。
深夜
「おい、グレン。お前あいつらが何者か…」
これは深夜も疑問に思っていたようだ。
私が聞く前にグレンへと質問をしている。
グレン
「百夜教だ」
「………」
そしてグレンはあっさり教えてくれた。
百夜教とは、この日本で最も規模が大きい呪術組織だ。
国家の暗部を支えているともいわれており、この国を陰から支配している存在でもある。