怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第8章 乱入者
グレン
「どうする?俺の下僕としてあの黒スーツを狩る手伝いをするか?」
これを引き受けなかったら殺すのだろう。
そう感じさせる程の緊迫感なのだが、深夜はなぜか嬉しそうに笑っていた。
深夜
「なんだよそれ。それじゃまるで僕の方がお前より…」
グレン
「弱えよ」
深夜
「はっ、なめん…」
間髪入れずに言い切ったグレン。
その言葉に深夜が言い返そうとした時だ。
「!」
今まで大人しくこちらの様子を見ていた黒スーツの男が鎖を放ってきた。
鎖はもちろん征志郎が反応できなかったトップスピードだ。
いち早く気づいた私は、すぐにその場を離れる。
「………」
あの2人はどうなっただろうか。
本当に少しだけ心配したものの、それは杞憂だったようだ。
深夜
「んで?あのスーツをどう殺る?」
グレン
「………」
身体能力で躱したグレンと護符で鎖を地面に封じた深夜。
それぞれ違うやり方での回避だが、どちらも実力があるからこそできたのだ。
「はぁ…」
かなり最悪な状況に、頭を抱えてため息をつく。
私は征志郎を殺せなかった。
しかも実力を隠していたらしいグレンと深夜に見られた上でだ。
黒スーツの男
「いやー、なんで私の持ち場はこう1番面倒くさい場所なんですかね〜」
するといきなり饒舌に話し始めた男。
頭に当てていた手を下ろし、そんな彼を改めて警戒する。