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怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】

第8章 乱入者




1本、今までとは比べ物にならない速さの鎖が征志郎へと伸びていく。
そのあまりの速さに、征志郎は反応もできていなかった。

これなら放っておいても勝手に死ぬ。
でも私は足を止めなかった。

このチャンスを逃さずに、確実に殺す為にだ。


征志郎
「ちょ、やめ…」


ようやく鎖に気づいて恐怖に顔を歪める征志郎。
そんな彼を刺すには真正面よりも、上からの方が心臓を狙いやすい。


深夜
「っ!?」


だから私は試合場にいる深夜の手を後ろから引き、肩を踏み台にして跳躍した。
もちろん助走を殺さないよう、1度も止まらずにだ。


「もらった…」


これならあの鎖が征志郎を殺し損ねてもトドメがさせる。
勝ちを確信し、鉄扇を征志郎目掛けて振り下ろした。

私の体重や上からの勢いのお陰で通常よりもかなり深く刺さるはずだったこの攻撃。
それなのに想定外の邪魔が入ってしまった。


グレン
「…避けろよ、ぼけ」

征志郎
「ぐあ…!」


私が刃を突き立てるよりも早く、グレンが割り込んできたのだ。
グレンは動けなかった征志郎を蹴って白煙の向こう側へと飛ばしてしまった。

誰もいなくなってしまった所に鉄扇の刃が突き刺さる。


「ちっ…」


せっかくのチャンスの邪魔をされて悔しい気持ちで舌打ちをしてしまうが、征志郎がいなくなっても鎖の攻撃は止まらない。
全てがトップスピードに変わった鎖は、私と目の前にいるグレンへと向かってきていた。
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